おしゃれなトイレリフォームを考える際、私たちはつい便器のデザインや壁紙の色柄にばかり注目しがちです。しかし、空間の雰囲気や上質さを決定づける上で、実は「照明(ライティング)」が極めて重要な役割を果たしていることをご存知でしょうか。照明計画一つで、ありふれたトイレが、まるで高級ホテルのパウダールームのような、安らぎと特別感に満ちた空間へと劇的に変化するのです。従来のトイレ照明は、天井の中央にシーリングライトやダウンライトを一つだけ設置するのが一般的でした。これは、空間全体を均一に明るく照らすという機能面では十分ですが、陰影のないのっぺりとした印象になりがちで、おしゃれさやムードを演出するには不向きです。ワンランク上の空間を目指すなら、「一室多灯」という考え方を取り入れ、複数の照明を効果的に配置するのがセオリーです。例えば、手洗い器の上には、デザイン性の高い「ペンダントライト」や「ブラケットライト(壁付け照明)」を設置してみましょう。これらは、空間のアクセントとして機能するだけでなく、手元を優しく照らし、実用性も兼ね備えています。鏡の両脇にブラケットライトを配置すれば、顔に影ができにくく、身だしなみを整える際にも便利です。さらに、空間に奥行きと高級感をもたらすのが「間接照明」です。鏡の裏側や、手洗いカウンターの下、あるいは天井の縁に光源を隠して設置し、光を壁や天井に反射させることで、柔らかくドラマチックな光のグラデーションを生み出します。床に近い低い位置に間接照明を設ければ、夜中にトイレに立った際も、眩しすぎずに足元を優しく照らしてくれます。照明を選ぶ際には、光の色(色温度)も重要です。リラックスした雰囲気を重視するなら、暖色系の「電球色」がおすすめです。温かみのある光が、落ち着きと安らぎの空間を演出します。一方で、清潔感やモダンな印象を求めるなら、自然光に近い「温白色」や、やや青みがかった「昼白色」も良いでしょう。照明計画は、リフォームの初期段階で検討することが重要です。壁紙や床材との組み合わせを考えながら、どこにどのような光が欲しいかをイメージし、設計担当者や電気工事業者と相談しましょう。光を巧みに操ることこそ、ありふれたトイレをおしゃれな空間へと昇華させる、最も効果的な魔法なのです。
照明で劇的に変わる!ホテルのようなトイレ空間を創るライティング術