あれは去年の十二月、非常に冷え込みが厳しい夜のことでした。家族が寝静まり、私が最後にお風呂に入ってリラックスしていた時、屋外から地響きのような「ブオーン」という不気味な音が聞こえてきたのです。最初は近くを大型トラックが通ったのかと思いましたが、音は一向に止まず、それどころか浴室の壁がわずかに震えているような感覚さえありました。慌ててお湯を止めると音もピタリと止まり、再びお湯を出すとまたあの重低音が鳴り始めます。私の頭の中には「爆発するのではないか」「火事になったらどうしよう」という最悪の事態が次々と浮かんできました。その夜は怖くてお湯を使うのを最小限にし、翌朝一番でメーカーのサポートセンターに電話をかけました。窓口の方は非常に冷静に「その音はファンモーターの振動かもしれませんね」と教えてくれましたが、それでも不安は拭えません。数時間後に来てくれた修理担当の方は、給湯器のパネルを開けて内部を点検し、やはり空気を取り込むファンの軸がずれて、外枠に振動が伝わっているのだと説明してくれました。我が家の給湯器は設置から九年が経過しており、人間でいえばかなりの高齢だという例え話に、思わず苦笑してしまいました。担当者の方は「このまま使い続けると、ある日突然動かなくなるだけでなく、隣近所への騒音トラブルにもなりかねませんよ」と言い、修理の見積もりを出してくれました。部品の交換だけでも数万円かかり、さらに他の箇所もいつ壊れてもおかしくない状態だと聞き、私たちは悩んだ末に思い切って本体を新調することに決めました。新しい給湯器が設置された夜、あんなに悩まされた「ブオーン」という音は一切なく、ただ静かに温かいお湯が出てくることに感動しました。それまでは当たり前だと思っていた「静かなお湯」が、実は機械の絶妙なバランスによって支えられていたのだと痛感した出来事でした。もしあの時、異音を「たまたまだろう」と放置していたら、真冬の最も寒い時期にお湯が全く使えなくなるという悲劇に見舞われていたかもしれません。機械が発する異音は、持ち主に対する「もう限界だよ」という精一杯のメッセージなのだと今では思っています。それ以来、私は家電製品のちょっとした音の変化にも敏感になり、早めのメンテナンスを心がけるようになりました。あの夜の冷や汗と不安は、結果として我が家の安全意識を高める良い教訓となったのでした。