マンションで深夜に水が出ないという緊急事態が発生した際、最も避けるべきなのは、インターネットで上位に表示される「水道急修」などの広告を鵜呑みにして、素性のわからない業者を安易に呼んでしまうことです。深夜の混乱した心理状態を突いて、不当に高額な料金を請求したり、マンション全体の設備を勝手にいじって状況を悪化させたりする悪徳業者の被害が後を絶ちません。まず大前提として、マンションの給水設備の不具合は、その建物を管理している管理組合、あるいはオーナーが責任を持って対処すべき範囲に含まれます。そのため、深夜であってもまずは「管理会社の緊急連絡先」に電話を入れるのが鉄則です。多くの分譲マンションや大手の賃貸マンションでは、警備会社や専門のコールセンターと契約しており、そこが一次窓口となります。もし、連絡先がわからない場合は、エントランスの掲示板やエレベーター内の掲示を確認してください。また、どうしても連絡がつかない場合で、状況が切迫しているときは、加入している火災保険や家財保険の付帯サービスを確認してみる価値があります。多くの保険には「水まわりの駆けつけサービス」が無償で付いており、深夜であっても応急処置のために業者を派遣してくれることがあります。ただし、この場合でも、共用部のポンプ室などを勝手に開けて作業することはできません。あくまでも、自分の部屋の中の蛇口や配管に問題がないかを確認する範囲に留まります。次に注意すべき点は、水が出ない原因が「水道代の滞納」による執行ではないかという点です。これは極めて稀なケースですが、もし身に覚えがある場合は、深夜にどれほど騒いでも水は出ません。しかし、水道局の執行は通常、日中の営業時間内に行われるため、深夜に突如として止まる場合は設備の故障である可能性が九割以上です。また、連絡を入れた後は、復旧までひたすら待つことになりますが、その間の衛生管理には細心の注意を払ってください。特に、無理にトイレを流そうとして、タンクに直接汚れた水を注ぎ込むのは厳禁です。最近の高機能なトイレは精密機械であり、不純物の混ざった水を入れると故障の原因となります。さらに、深夜に作業員が到着した際、彼らがスムーズに作業できるよう、マンションの入り口を解錠したり、現場を案内したりする必要が生じることもあります。協力的な姿勢を持つことが、結果として自分たちの生活を早く取り戻すことに繋がります。マンションという垂直の街において、水は血液のようなものです。その流れが止まった時、私たちは個々の住民としてだけでなく、共同体の一員として冷静かつ適切に行動する責任があると言えるでしょう。