私は長年、マンションの管理員として多くのトラブルに立ち会ってきましたが、その中でも深夜の断水報告は、最も住民の方々を動揺させるものの一つです。深夜に「水が出ない」という連絡が入ると、私たちはまずポンプ室へと急行します。管理員の視点から言わせていただければ、深夜の断水は防げるものと、どうしようもないものに分かれます。防げるものとは、定期的な点検や部品交換を怠ったことによる老朽化故障です。しかし、こればかりは住民の方々にはどうすることもできません。一方で、深夜に水が出ない事態に直面した際、住民の皆様がどのように振る舞うべきか、その備えについてはお伝えできることがたくさんあります。まず、深夜に水が止まった際、真っ先に確認してほしいのは「受水槽の周辺で変な音がしていないか」です。もしゴーっという異音や、逆に不気味なほどの静寂があれば、それはポンプの異常を示しています。管理員や業者が到着する前に、こうした情報を伝えていただけると非常に助かります。また、深夜の断水でパニックになる方の多くは、飲み水の備えがありません。私たちは日頃から「最低三日分の水」を各家庭で備蓄するよう呼びかけていますが、実践されている方は驚くほど少ないのが現状です。水が出なくなってから深夜のコンビニへ駆け込むのは大変な重労働ですし、冬場であれば体調を崩す原因にもなります。次に、トイレの流し方についても、正しい知識を持っていただきたい。バケツ一杯の水を一気に流し込むことで排泄物を流すことは可能ですが、これはあくまで緊急手段です。特に高層階にお住まいの場合、排水管の空気圧の関係で、下の階から汚水が逆流するリスクもゼロではありません。深夜の断水時は、できるだけ非常用トイレシートを使用することをお勧めします。また、私たちは深夜に復旧作業を行う際、全戸の蛇口が閉まっていることを信じて作業を進めます。もし一箇所でも開いたままの家があると、通水した瞬間に水圧で蛇口が暴れたり、溢れ出した水が階下に漏れたりします。深夜に水が出ないことに憤り、蛇口を開けたまま寝てしまうことだけは、管理員として最も恐れている事態です。マンションという共同住宅で快適に暮らすためには、インフラを共有しているという意識が欠かせません。深夜のトラブルは確かに不便で不安なものですが、管理側と住民側が正しい知識を共有し、互いに協力し合うことで、どんな夜も必ず乗り越えられるのです。
マンション管理人が教える深夜の給水故障への備え